原点とこれから
社会課題解決企業としての使命を胸に、困難も乗り越えながら成長してきました
原点
「大卒フリーター問題」という社会課題の解決を目指し創業
バブル崩壊後の景気低迷が続いていた1990年代末。大学生の就職内定率は過去最低水準まで落ち込み、就職できずに不安定な生活を送る「大卒フリーター」が大きな社会問題となっていました。
当時、家庭教師センターで取締役を務めていた浦上壮平(現・エスプール代表)は、就職難で苦労する若者たちと日々接する中、彼らの就職を支援したいという思いを強めていきました。そのような中、「大卒フリーター問題」という社会課題の解決を目指して、1999年にエスプールを起業しました。
急成長
時代の流れに乗り、設立8年目でスピード上場
まず立ち上げたのは、今でいう短期のインターンシップ事業。就職を希望する大卒フリーターを、企業にトライアル雇用してもらい、良い人がいれば採用してもらうビジネスでした。
初年度こそ赤字だったものの、2年目には売上が約15億まで伸び、黒字化を達成。事業のユニークさと社会的価値の高さから、当時はまだ珍しかったベンチャーキャピタルからの資金調達にも成功し、順風満帆なスタートとなりました。
そのような中、日本の景気はITバブルの影響で急回復し、2000年初頭から大学生の就職状況が大きく改善していきます。大卒フリーターの就職支援事業で拡大していた当社は、岐路に立たされることになりました。株式上場を視野に入れつつ事業転換を決断し、市場が急拡大していた短期の人材派遣サービスに参入。事業は時代の流れに乗って急成長し、設立から8年目で上場を果たしました。
挫折
リーマンショックを機に、債務超過に転落
選択と集中による効率的な経営を推進し、人材派遣サービスは順調に拡大。攻めの経営を推し進めるべくITエンジニアの派遣会社を買収しましたが、その矢先にリーマンショックが発生し、当社も大きな影響を受けることとなりました。買収した会社は、売上が3分の1まで減少。主力事業だった短期派遣サービスも売上が大きく落ち込み、2010年、債務超過に転落しました。
そこから、生き残りをかけた必死の再建が始まりました。大赤字となったITエンジニアの派遣会社は、半年で黒字化し売却。短期派遣サービスも何とか立て直し、債務超過を解消することができました。
原点回帰
創業時の使命に立ち返り、ソーシャルビジネスに回帰
会社は生き残り上場を維持できたものの、多くの社員は会社を去り、400名いた社員は150名まで減少。残ったメンバーで会社の将来を話し合って出た結論が、創業時への原点回帰でした。
「大卒フリーター問題」という社会課題の解決を目指してエスプールを起業したにもかかわらず、上場を急いで事業転換したことを反省。創業時の使命に立ち返り、社会の役に立つ事業を自分たちの手でもう一度つくり上げていこうと強く決心しました。
また、どんな環境変化にも対応できる会社となるために、選択と集中を重視する経営から、リスクを分散する事業ポートフォリオ経営への転換を図りました。さらには、利益率の高い事業の推進、すなわち付加価値と顧客満足度の高いサービスを追求していくことを2012年に経営方針としました。
今につながる3つの転換
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1. ソーシャルビジネスへの原点回帰
エスプールは、「大卒フリーター問題」という社会課題の解決を目指して創業。当時の使命に立ち返ることで、現在、展開しているソーシャルビジネスを生み出しました。
mission
アウトソーシングの力で
企業変革を支援し、
社会課題を解決する -
2. ポートフォリオ経営への転換
主力事業に依存し経営不振に陥ったことから、多角的に事業を展開するポートフォリオ経営へ転換。収益の柱を増やし、環境変化への対応力を高めています。
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3. 高付加価値で利益率の高い事業の推進
新たな経営方針のもと、社会貢献性や付加価値が高く、景気変化に強い事業を推進。社会の役に立ちながら利益を出すことで、持続的成長を目指します。
復活
真の社会課題解決型企業を目指す
事業内容もゼロベースで見直しました。人材派遣サービスは、短期派遣の分野から完全撤退し、若者や未経験者の就職支援を主軸にしました。また新たに、貸し農園を活用した障がい者雇用支援サービスも開始。当初は苦しい状況が続きましたが、「成功するまで絶対にあきらめない」、「会社が続く限り撤退はしない」と不退転の決意で取り組みました。
人材派遣サービスと障がい者雇用支援サービスは軌道に乗り、業績は回復。社会課題を解決するという企業理念に共感した人材も復活の原動力となり、2022年4月には、東京証券取引所プライム市場に上場しました。
大卒フリーター問題の解決から始まったエスプールのソーシャルビジネスは、現在では、地方創生や環境の分野にも広がっています。真の社会課題解決型企業を目指す道のりは、まだまだ始まったばかりです。