EC物流(通販物流)とは?改善⽅法や倉庫選びのポイント紹介

ECサイトでショッピングを楽しむ人が増えたことにより、近年では多くの企業がEC事業に参入しています。しかし、少人数で運営することも多いEC事業において、どのように物流体制を整備すべきかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、EC物流の基礎知識や改善方法、倉庫選びのポイントなど、EC事業を営む際に避けて通れないEC物流についてわかりやすく解説します。

EC物流(通販物流)とは?

ECとは「Electronic Commerce」の略称であり、インターネット上で商品やサービスを売買することを指す言葉です。
日本語では「電子商取引」と表現され、「Eコマース」などと呼ばれることもありますが、一般的には「ネットショッピング」という言葉で広く知られています。

インターネットやスマートフォンの急速な普及に伴って、ECに関わる物流業務も需要が急速に拡大しています。
このようなECに関連する物流は総じて「EC物流」と呼ばれ、通常の物流業務と区別されています。通常の配送の他にも、ギフトラッピングや組立加工、ノベルティの梱包など、流通加工全般を含め対応しているケースが一般的です。

EC物流(通販物流)の特徴

EC物流には、通常の物流センターとは異なる特徴がいくつかあります。
ここでは、EC物流の特徴を4つ紹介します。

⼀般家庭への配送が多い

従来の物流業務において物流センターから配送される荷物の宛先は、スーパーや百貨店、飲食店などの実店舗が多くを占めていました。
いわゆるBtoB事業であり、メーカーから店舗へ納品したあとに、店舗から一般消費者へ流通することが当然となっていました。

しかし、EC物流においては一般消費者がインターネットを通じて商品を購入する機会が多いことから、荷物の配送先も一般家庭であることが多くなってきています。

同梱物への気配りが⼤切

ECサイトで商品を購入する消費者の中にはギフト用として商品を選んでいる人も少なくありません。
ギフト用のニーズに応えるためには、ギフト包装を行うだけでなく、プレゼントに添えるメッセージカードなどの同梱物に気を配ることも大切です。普段は納品書を紙で同梱している場合でも、ギフト用の荷物には納品書を入れないなど、きめ細やかな配慮も重要です。

また、ブランドに興味や親しみを持ってもらうために商品に関するチラシやリーフレットを挟むなど、次のセールスに結びつける取り組みをしている企業もあります。

梱包にも⼯夫が必要

注文した商品が消費者の手元に届いた時、最初に目に入るのは梱包資材です。
そのため、最近ではブランドのオリジナルデザインを施したダンボールを使って商品を梱包する企業も増えています。無機質なダンボールで送られてきた商品よりも独自のデザインが施された箱に詰められて届いた商品の方が、インパクトや共感、喜びを強く感じてもらえる可能性が高いからです。

ダンボールだけでなく、包装紙やショップシールなどにオリジナルのデザインを採用する例も数多くあります。

商品のバリエーションが多い

EC物流はBtoCが中心となることから、一人あたりの購入点数や購入金額が少なく、商品のバリエーションが多いという特徴もあります。物流倉庫で保管しなければならない商品は多種多様で、梱包作業や配送先の管理も複雑化しやすい傾向にあります。

EC物流(通販物流)でよくある課題とは

EC物流でよくある課題とは

EC物流をスムーズに行うためには、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
ここでは、EC物流(通販物流)によくある課題を解説します。

発送に時間がかかりやすい

一つ目の課題は、「発送に時間がかかりやすい」ということです。
商品の出庫、検品、梱包、発送など、ECサイトで注文を受けた商品が発送されるまでに多くのプロセスがあることが原因ですが、一つひとつの業務を丁寧に行うことが顧客満足度の維持、向上につながります。また、誤った商品を出荷していないかなどもチェックしなければならないため、件数が多いほど業務にかかる時間も長くなります。

在庫管理が複雑になりやすい

EC物流には、「在庫管理が煩雑になりやすい」という課題もあります。
この課題は、扱うアイテム数の多さに起因します。前述の通りEC事業では取り扱う商品数が多く、特にアパレル商品の場合などは、同じ商品のサイズ違い、色違いなど間違いが発生しやすい商品も多々存在します。そのため、慎重かつ正確な管理体制を構築する必要があります。

事業規模が拡大すると負担も増大する

EC物流は、事業規模が拡大すると現場の負担も増大しやすく、リソースの確保が難しくなりやすいという課題も抱えています。

EC事業は少数のスタッフで運営している例も多く、受注量に対してEC物流に携わるスタッフが限られているため、業務負担が大きくなりやすいのです。物流業務の負担が重くなり過ぎて基幹業務に影響が出ると、最悪の場合は企業の成長に悪影響を及ぼすケースもあります。

消費者からのニーズの多様化

近年は多くの消費者がECを気軽に利用するようになり、ニーズも多様化しています。
単に注文を受けた商品を梱包・出荷するだけでなく、ギフトラッピングや組立作業など、消費者が求める配送方法に個別対応し、顧客満足度の向上を図ることが必要です。
また、配送リードタイムの短縮などといった企業努力も求められます。

このような消費者からのニーズの多様化に応えることも、EC物流の課題の一つです。
自社のEC物流をできるだけスムーズに進行できる環境を整え、発送完了までのスピードを最大限に速められるような体制を構築することが大切になってきます。

EC物流(通販物流)においては発送までのスピードが重要

EC物流においては、消費者の注文完了から商品発送までのリードタイムをどれだけ短縮できるかが重要となります。
中には商品の到着を急いでいる人もいるため、到着日時によっては購入を諦めてしまうケースもあるでしょう。
「注文してからすぐに商品が届く」ことは企業にとってアピールポイントの一つになりますが、到着までの期間が長いと顧客満足度を下げる要因にもなるのです。

商品の到着をとりわけ急いでいなかったとしても、一般的には少しでも商品の到着が早いほうが顧客満足度は高くなります。
自社のEC物流をできるだけスムーズに進行できる環境を整え、発送完了までのスピードを最大限に速められるような体制を構築することが大切です。

EC物流(通販物流)改善のための方法とは

自社のEC物流を改善するためには、自社の物流業務の全体像を把握し、物流業務フローを見直して、改善できる点がないかどうかを洗い出すことが重要です。
自社だけで解決できない場合はアウトソーシングも積極的に検討しましょう。

ここでは、EC物流改善のための代表的な3つの方法をご紹介します。

現状の物流業務全体を把握する

具体的な改善事項を考える前に、まずは現状の物流業務全体を把握するところから始めましょう。
自社のEC物流のプロセスを洗い出して全体像を可視化できれば、どの部分がボトルネックになっているのかがわかります。発見したボトルネックの原因を突き止めることによって、EC物流の具体的な改善策を立てられるようになります。

物流業務フローの⾒直し

自社のEC物流の全体像を可視化して課題を確認できたら、物流業務フローの見直しを行います。課題となっている業務のオペレーションをどのように改善すれば業務が円滑に進むのかを現場のスタッフも交えて話し合い、新たな業務フローを構築しましょう。

新しく運用を始めた業務フローで想定通りの成果が出せているかを定期的に確認することも大切です。もし期待していた成果が出ていないようなら、さらに改善を重ねていきます。

物流アウトソーシングする

自社だけで物流ECを効率的に運用するのが難しい時は、思い切って物流をアウトソーシングすることもおすすめです。
物流アウトソーシングは物流の専門業者が自社に代わってEC物流業務を担ってくれるため、スタッフのリソースを別の業務に集中させることができ、生産性の向上や業績の拡大につながる可能性があります。

アウトソーシングする際には倉庫選びも重要

EC物流のアウトソーシングを検討する際は倉庫選びも重要です。

自社の毎月の受注量に対応している倉庫なのか、代行してほしい業務はどの範囲なのか、希望するオプションが用意されているかどうかなど、さまざまな観点から自社に適した倉庫を選定しましょう。

アウトソーシングにかかるコストと対応してもらえる物流業務のバランスを図ることも大切です。予算の範囲内でどの程度のアウトソーシングを実現できるのかについて十分に確かめたうえで倉庫を決めることをおすすめします。

ひと口に物流業務といっても、業務範囲は多岐にわたります。入庫・検品、ピッキング、梱包、流通加工、出荷・配送などの中から一部の業務だけを代行してもらえる倉庫もあれば、一連のEC物流をすべて委託することが前提となっている倉庫もあります。

自社に合った倉庫を選べるかどうか不安な場合はぜひ一度相談し、自社の現状に合わせた最適なアウトソーシングが実現できるかを確認してみましょう。

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