物流会社と運送会社。この2つの会社は同じ業務を行っているように思われる方も多いと思いかもしれませんが、実はそれぞれ役割が異なります。では、物流のアウトソーシングを考えた際にはどちらの会社を選べばよいのでしょうか。
ここでは、物流会社と運送会社の違い、また物流会社のメリットについてわかりやすく解説します。
物流会社とは、入出庫(荷役)や保管、検品、梱包・包装、出荷、配送などさまざまな物流業務に総合的に対応可能な会社のことです。
これらの物流業務を荷主に代わって行い、サービス料を対価として得ることによって事業を成り立たせています。
物流会社と運送会社の役割は、同じようであって実は少し異なります。運送会社はトラックなどで荷物を輸送することに特化しています。そのため、荷物をいかに効率的かつ安全に配送するかが重視されます。
一方、物流会社は物流に関するあらゆる業務を担うことを目的に運営されています。そこで重視されるのは、自社が提案した物流体制によって荷主の業務効率を改善し利益につなげることができるかどうかです。
物流会社を選ぶメリットとしては次の3つが挙げられます。
最近ではインターネットで買い物をすることが当たり前になり、注文があった商品をいかに迅速に届けられるかはEC事業者にとって重要な課題となっています。
しかし、EC事業者は少数精鋭で運営しているケースも多く、物流業務にそれほど人手を割けません。そのため、配送リードタイムを短縮することが難しい事情を抱えている場合もよくあります。
その点、物流業務のノウハウを持った物流会社に業務を委託すれば、全国に張り巡らされた物流網を活用してお客様に迅速に商品を届けられます。
自社で物流業務を行うためには、設備投資や人件費、配送費用など膨大なコストを負担する必要があります。常温の物流はもちろん、冷蔵品や冷凍品を扱っている場合は専用設備を用意しなければならないため、さらにコストがかかります。
しかし、物流業者を活用すれば自社で設備や人員を用意する必要がなくなり、保管や配送などにおいてすべて物流業者が所有しているリソースを活用できます。必要な時に必要な分だけ利用できるため、コストを最適化できるメリットもあります。
正確な在庫管理を行うためには在庫管理システムの導入や大々的なロケーション管理が不可欠ですが、自社で物流業務を行う場合、日常業務に追われながら在庫管理にまで取り組むことは容易ではありません。
物流会社では専用の在庫管理システムや配送管理システムなどを用意しており、徹底した在庫管理によって過剰在庫や欠品を抑止します。プロの目線で在庫管理に取り組めるので、無駄のない倉庫運用が実現できます。
物流のアウトソーシングを決断したら、次は自社のニーズにマッチした信頼できる物流会社を探す必要があります。選ぶ際には次の2つのポイントを意識しましょう。
お客様にスムーズに商品を届けるためにも、物流拠点の立地は重要なポイントの一つです。
物流は、拠点から届け先までの距離が遠ければ遠いほど配送リードタイムが長くなります。自社のお客様が全国各地にいるにもかかわらず物流会社の拠点が東京だけであったら、各地のお客様をより長くお待たせすることになってしまいます。
また、鮮度の維持が重要な荷物の場合、配送途中に商品の鮮度が失われやすいというデメリットもあります。青果など店舗に陳列する商品の場合は販売期間が短くなってしまう可能性も考えられるでしょう。
物流会社を選ぶ際は、自社商品を配送する可能性がある地域と近い場所に物流拠点があるかどうかを確認することをおすすめします。
保管の設備が整っているかどうかも契約前に確認しておきたい項目です。自社が預ける商品の品質を維持したまま保管しておける倉庫かどうかを十分にチェックしましょう。
たとえば、湿気に弱い商品を扱っている事業者が湿気の多い倉庫を選んでしまうと商品の劣化が速まり、販売期間が短くなったり廃棄が増えたりする可能性があります。倉庫の写真を見ただけではわからないことも多いので、物流会社の担当者に話を聞いたり、実際に倉庫を見学してみたりしてから、活用を検討するようにしましょう。
また、保管する商品が特殊な性質を持っている場合は、それに対応した設備を導入しているかどうかも確認が必要です。要冷蔵、要冷凍、危険物など、預ける商品の内容によっては通常の倉庫で対応できないものもあります。
物流会社によって用意している物流サービスは異なります。検討している物流会社がどのようなサービスを扱っているかをあらかじめ確認しておきましょう。よく確認せずに話を進めてしまうと、実は希望しているサービスが用意されていなかったということも起こりかねません。
一般的な物流会社であれば、入出庫や検品、保管、ピッキング、出荷・梱包、配送などの基本的な物流業務はカバーしているケースが多いと思われますが、チェックしておきたいのは流通加工やカスタマーサービスなどオプションの部分です。
特にギフトラッピングやセット組などの流通加工はすべての物流会社が対応しているわけではありません。希望の運用方法を叶えられるかどうかを事前に調べておきましょう。
輸送を専門とする運送会社とは異なり、物流会社は物流に関するあらゆる業務に対応しているのが特徴です。スピーディーな配送や適切な在庫管理などを通してコスト削減を目指すのであれば、物流会社の利用を検討しましょう。
物流会社を選ぶ際は、拠点の立地や保管設備、サービス内容などもしっかりと確認することが大切です。自社が求めているサービスを提供してもらえるかどうかを十分に検討した上で、目的に合った物流会社を利用しましょう。