発送代行とは、ECサイトなどの事業主が、商品を発送する際の業務をアウトソーシングすることを指します。
インターネットが普及したことにより、オンラインで買い物ができるECサイトが増加しました。
ECサイトの活用は、販路を広げる大きなチャンスを企業にもたらします。
中には販路が国内のみならず海外に広がるケースもあります。
一方で、配送にはスピーディーな対応が求められるため、売れれば売れるほど作業が煩雑化してしまう側面も持ち合わせているのです。
そうなると、物流業務にかかる負担が増加してしまい、慢性的な人手不足に陥りかねません。
発送の対応にばかり追われてしまうと、本来力を注ぐべき販促企画などの通常業務のほか、日々の事務作業や商品管理などに集中できなくなってしまい、せっかくの商品やサービスの品質が低下してしまう恐れもあります。
そうした背景から、発送に関する業務を代わりに行ってくれる「発送代行のサービス」の需要が高まっています。
なお近年は、企業向けの配送業務を専門的に扱うBtoBのサービスだけでなく、オークションサイトなどの発送代行を個人で請け負っている場合もあり、発送代行という言葉は比較的広い意味合いで用いられています。
発送代行は、請け負ってくれるサービスや専門分野が業者によって違います。
利用を始める前に「発送代行にどんなことを頼みたいのか」「どんな効果を期待するか」を明確に
しておきましょう。
その上でサービスの範囲や料金形態について精査をすれば、スムーズな業者の選定ができるはずです。
▼発送代行業務の具体例
上記のような基本業務以外にも、ラッピングや封入・封緘、シール貼り、また商品の組み立てなどの加工作業を代行してくれる業者もあり、サービスの範囲は広範にわたります。
梱包までは自社で行い発送作業のみを依頼するなど、内省できる範囲や予算によって、依頼する内容をカスタマイズすることも可能です。
自社の状況に照らし合わせながら導入を検討しましょう。
自社で発送業務を行う場合と発送代行を導入する場合とでどのくらいコストに差が出るのかを知ることは、代行業者の導入を検討する上で非常に重要なポイントの一つとなります。
まずは、自社で行う発送業務にどのぐらいの費用がかかっているかをまとめてみましょう。
費用として考えられるのは、運送費、梱包資材の購入費、商品を外部に保管しておく場合の倉庫代、そして発送作業をするスタッフの人件費などがあります。
ただし、目に見えるコストだけを安く抑えられれば良いというものではありません。
事業の将来性や業務の効率性を踏まえて検討した場合に「多少費用がかかっても発送代行を利用した方が良い」と考えられる場合があります。
下記に紹介する導入のメリットも踏まえながら検討してみましょう。
サービスを依頼する際には、もちろん費用が発生します。
事業の規模によっては、自社で発送業務までカバーした方がいいことも。
ここからは、発送代行サービスを利用することで得られるメリットをご紹介していきます。
自社で在庫を抱える必要がなくなります。
自社の一部を倉庫として使っている場合はその分のスペースを有効に活用できるようになりますし、在庫を保管するために倉庫を借りている場合はその賃料を削減できます。
専門知識を持ったプロに任せられるので、発送ミスが少なくなることが期待できます。
また、過去の経験から培ってきた知恵があるとともに、発送に関する仕組みがすでに構築されているため、ヒューマンエラーを最小限に抑えられ、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
発送業務に携わっていたスタッフも、事務作業に集中できます。
販促などの企画を考える時間も確保しやすくなるので、売り上げの向上も期待できるでしょう。
複数の商品を自社で在庫管理をした場合、どのくらいの費用が発生しているのか計算するのが難しい場合も。
しかし、在庫管理を業者に依頼した場合、それぞれの管理費や回転率が可視化されるので、不要な費用を削減することができます。
セールやイベントなどの繁忙期には、通常よりも受注数が増えるため、物流経費が異なりますが、社内で発送まで行った場合は繁忙期・閑散期に関わらず一定の物流経費が発生し続けます。
発送代行のサービスを利用すれば、それぞれの時期に合わせてスタッフの数を調整できるので、物流経費を変動費にすることができます。
便利な発送代行サービスですが、メリットがある反面デメリットも考えられます。
どちらもしっかりと比較して検討しましょう。
発送代行を依頼した場合、発送ミスを最小限に防ぐことはできますが、社内のノウハウは蓄積されません。
サービスを利用した後に、自社で発送までやるとなった場合に仕組みを構築できず、経営が悪化する可能性も。
発送を代行する場合、顧客の情報を他者と共有することになります。
信頼関係がなくてはサービスを利用することは難しいですが、個人情報流出の可能性は高まることを念頭に置いておきましょう。
ライン化しにくい特殊な配送サービスを自社で行っているような場合、それと同じ作業を代行業者に依頼するのが難しい場合もあります。
仮に請け負ってもらえたとしても、逆にコストが上がってしまう可能性があります。
発送代行サービスを利用する際の費用の内訳には、大きく分けて入庫費用、保管費用、梱包費用、発送費用の4種類があります。それぞれの費用について詳しく解説します。
入庫費用とは、商品が倉庫に到着した時に個数が間違っていないかを確かめるための検品費用や、検品後に倉庫に入庫するための作業費用などのことです。
宅配便、コンテナ、PLなど、入庫する荷物の梱包方法などによっても入庫料金は異なります。
倉庫に入庫した商品を保管しておくための費用です。
「1坪〇円」「1ラック〇円」などのように設定されていることが多く、固定費用の中に人件費や光熱費などが含まれています。ただし、冷凍・冷蔵品など温度管理を必要とする商品の場合は光熱費が別途加算されるケースもあります。
倉庫からピッキングした商品を梱包するための費用です。
商品に合わせた適切な梱包資材を使い、発送業者に引き渡したり自社の配送用トラックに積み込んだりします。納品書や送り状の発行・貼付費用は含まれているケースが一般的ですが、ギフト対応などが必要な場合は別途オプション料金がかかります。
配送トラックに積み込んだ荷物を配送先に届けるための費用です。
運送会社と契約している場合はあらかじめ契約した金額に基づいて算出される契約料を指しますが、自社配送の場合はトラックの燃料費やドライバーの人件費などが該当します。
では、発送代行サービスを検討すべきタイミングはどのようにして計ればいいのでしょうか。
その基準や目安をご紹介します。
全体の業務量において発送業務のボリュームが明らかに増えてしまっているような場合は、発送代行を検討するべきです。
事業がさらに拡大していけば発送にかかる時間や手間がますます増えてしまい、出荷遅延などのトラブルを引き起こすことにもなりかねません。
また、発送にばかり手を取られてその他の業務が疎かになることで、事業の成長そのものが停滞してしまう恐れもあります。
発送業務にかかるコストが明らかに増加している場合も、業者に依頼することを検討するべきでしょう。
場合によっては、売れれば売れるほど発送のための人件費がかさみ、財務状況を圧迫してしまう可能性も
あります。
売上と発送コストのバランスを精査し、適切なサービスを探してみましょう。
業者によってそれぞれにサービスも異なります。
自社のニーズにあったものを選ぶために、利用する前にチェックした方がいいポイントをご紹介します。
まずは発送代行にかかる費用を確認しましょう。
自社発送のコストと発送代行サービス利用のコストを比較し、どのくらい差額が発生するのかを見極めます。
サービスの内容にもよりますが、発送代行には固定費と変動費の2種類の費用がかかります。
固定費は、サービスを利用する為の基本料金や商品を保管する倉庫利用料など。
変動費は、商品の入庫費用や梱包費用、発送費用など、荷物の数量によって変動する費用です。
この2種類の費用を合計することで、発送代行にかかる費用が計算できます。
一方、自社の物流コストとしては、荷物の運送費、商品を保管する倉庫の賃料、入出庫や梱包などの作業にかかる荷役費、伝票発行業務や発送指示等を行う為の人件費などが挙げられます。
業者に依頼した場合、保管場所・出荷可能数を確認しておくことも重要です。
保管場所があまりに遠いと、トラブルが発生した場合に確認のためにかけつけるまでの時間を
ロスしてしまいます。
出荷可能数も事前に把握しておかないと、追加料金が発生する可能性も。
不明点や疑問点があった場合の問い合わせ先や対応時間も確認が必要です。
また、顧客に荷物が届くまでに発生したトラブルへの対応も業者によって異なるので、それぞれにどのような対応になるのか、事前に確認しておきましょう。
発送代行の業者によって得意な分野、不得意な分野があります。
一つのジャンルのみを取り扱っているECサイトなら、それぞれに得意な発送代行業者を探せますが、「食品」「アパレル」「化粧品」「書籍」など、多種多様なものを取り扱っている場合には、慎重に業者を
検討しましょう。
エスプールロジスティクスは、顧客企業の成長段階に合わせてロジスティクスの提供をしています。
スタートアップから成長期にある企業様は、まだ1社で多くのスペースを要しませんし、「売上アップ」が目下の課題となりますから、当社で運営しているシェアードセンターに入居いただき、当社ルールに則ってセンター運営をし、使用した分の委託費用をお支払い頂く形となっております。
成長期から成熟期を迎えた企業様は、売上アップに加え、「コスト競争力の向上」も課題となります。
使用スペースも増えるので、専用センターを構え、その企業様にあった運用ルールをもって、専門チームが効率良くセンター運営していきます。
このように、当社は顧客企業の成長段階に合わせて、ロジスティクスの形を変化させていき、その時々の課題を解決するパートナーとなります。
事業規模にもよりますが、ECサイトの事業主にとって発送代行は欠かせないサービスだといえるのではないでしょうか。
しかし、熟考しないままに利用してしまうとトラブルが発生してしまう可能性もあります。
事前に社内の問題点を洗い出し、アウトソーシングすることで解決できるのかどうか、検討することが重要です。