人材紹介サービスとは?仕組みや種類、選び方のポイントを解説
「これまで求人広告のみで採用をおこなってきたが、他の採用手法も検討したい」「人材紹介サービスについて具体的に知りたい」などとお考えの採用担当者様もおられるのではないでしょうか。
人材紹介サービスでは、一般的な求人広告などに比べ、企業が求めるニーズによりマッチした人材を採用できる可能性があります。この記事では、人材紹介サービスの概要や人材サービスの選び方のポイントについて解説します。
目次 []
人材紹介サービスとは
人材紹介サービスとは、人材を採用したい企業から案件を預かり、ニーズに合った人材を紹介するサービスです。成功報酬型が一般的で、人材を紹介し入社に至った場合に、企業からサービスを提供する会社に料金が支払われます。
また、人材を紹介するだけでなく、企業が募集している案件に求職者を集客するための求人票作成、求職者の希望条件などのヒアリング、日程調整など、選考プロセスをスムーズに進めるためのサポートもおこないます。
人材派遣サービスとはなにが違う?
人材紹介サービスとよく似たサービスとして、人材派遣サービスがあります。違いについて以下の表にまとめました。
項目 | 人材紹介サービス | 人材派遣サービス |
---|---|---|
雇用期間 | 無期雇用 | 有期雇用 |
雇用契約 | 依頼先企業と求職者が直接雇用契約を締結する | 人材派遣会社と派遣社員が雇用契約を締結し、依頼先の企業へ派遣する |
業務内容 | 基本的に業務の定めはなし | 法律によって派遣禁止業務が定められており、契約で定義された業務以外の依頼はできない |
費用 | 求職者が依頼先企業へ入社した際に発生。 | 派遣社員の稼働単価に実働時間を乗じた金額 |
人材紹介サービスは無期雇用、人材派遣サービスは有期雇用の採用支援をおこなっている点が大きな違いです。
無期雇用の場合は正社員として中長期で勤めてもらうことを想定し採用しますが、有期雇用は一時的な業務対応を目的として採用するケースがほとんどです。実際、派遣社員を同じ事業所で原則3年間以上業務に従事させてはならないと法律で定められています。
ただしこの3年間というのはあくまで原則であり、主に以下に該当する場合、例外として3年以上の労働が認められます。
- 派遣元の会社で無期雇用されている
- 契約3年目の時点で年齢が60歳以上の場合
- あらかじめ終了する予定が決まっているプロジェクト方式等の業務に従事する
また、上記の特例に該当するなどして有期雇用で5年間以上契約を継続した場合、派遣社員から無期雇用を希望する申し出があれば派遣先企業は拒否することはできず無期雇用社員として受け入れることになります。
これは無期転換ルールと呼ばれるもので、労働契約法の改正により2013年4月1日から新たに取り入れられた制度です。ただし、60歳以上など、派遣先企業の定年に該当する場合は都道府県労働局長の認定を受けることで、派遣社員の無期雇用切り替えの権利が発生しない特例を受けることが可能です。
参照:厚生労働省「無期転換ルールについて」
厚生労働省「無期転換ルールハンドブック」
上記以外にも、派遣先企業が直接雇用契約を締結する、同じ派遣先企業であっても部や課が変わりこれまでと異なる業務に従事するなどで、契約社員が3年以上同じ企業で働くケースもあります。
人材紹介サービスの仕組みと種類
主な人材紹介サービス3種類をご紹介します。どういった人材を採用したいかによって使い分けることで、採用成功率の向上が期待できます。
※弊社が提供するサービスの紹介ではなく一般的なサービスについての紹介になります。
一般登録型
一般登録型は最も普及している人材紹介サービスです。人材紹介会社が保有するデータベースに求職者を集客することで人材プールをつくり、企業のニーズに合った人材を選定し紹介します。さまざまな職種の求職者をバランスよく総合的に集客している企業や、金融、医療、エンジニアなど特定の業界・職種に特化した人材をデータベース化している企業もあります。大手になると自社のデータベースに数百万人以上の求職者を抱えています。
スカウト・サーチ型
スカウト・サーチ型は、ヘッドハンティング形式で声がけをおこない企業と引き合わせます。一般登録型のデータベースに登録している人材は「転職をしてみようかな」と考えている顕在層が中心ですが、スカウト・サーチ型は、現職で活躍しており、特に転職を考えていない潜在層に対してアプローチをかけます。
企業の部長職、経営幹部候補、CXOクラスなど、いわゆるハイレイヤー人材をピンポイントで採用するサービスもあります。採用したいポジションの要件が非常に高く、難易度が高い場合は、スカウト・サーチ型の活用がおすすめです。
再就職支援型
再就職支援型は、業績不振などにより社員を自社で抱え切れない場合にリストラをおこない、グループの別企業や系列企業に就職できるようサポートするモデルです。リストラをおこなう企業から依頼を受けた人材紹介会社が解雇の手続きや次の就職を促すための求人紹介などを代行します。雇用状況の変化に応じて機会が発生するサービスのため、3種類のサービスのなかでは活用シーンが限られます。
人材紹介サービスを利用するメリット
人材紹介サービスを利用するメリットには、主に以下の3点が挙げられます。
採用が決定するまで紹介手数料が発生しない
1つ目のメリットは、採用が決定するまで手数料が発生しない成功報酬型モデルである点です。初期費用が掛からず、採用したい人材が入社に至った場合にのみ手数料が発生します。人材要件のすり合わせ、求人票の作成、採用したいポジションの母集団形成といったサービスはいずれも無料で受けられるため、利用する際のハードルは低いといえます。
自社のことを知らない求職者にも訴求できる
2つ目のメリットは、自社を知らない求職者にも訴求できる点です。
自社の採用ホームページで求職者の応募を待っているだけではなかなか人材は集まりませんし、応募があったとしてもそれは自社を元から知っている人であるケースがほとんどでしょう。しかし、人材紹介サービスでは、人材紹介会社が保有するデータベースに幅広く声掛けをおこなうため、多くの求職者に自社を認知してもらえます。
また、人材紹介会社は企業の魅力を求職者に適切に伝えるプロです。第三者の視点から自社の魅力を代弁してもらうことで、採用母集団を大きくできる可能性があります。
採用業務の一部を代行してもらえる
3つ目のメリットは、採用業務の一部を代行してもらえる点です。求人票の作成や求職者とのコミュニケーションは人材紹介会社が担う業務範囲なので、自社の人事採用担当者の工数削減につながります。
求職者とのコミュニケーションは具体的に、希望条件のヒアリング、他社の選考状況、日程調整などがあります。仮にすべてを採用担当者がおこなう場合、他業務が忙しいためにやり取りがスムーズに進まないことで求職者の意欲が落ちてしまい、辞退となってしまう可能性もあります。
前述の通り、人材紹介会社のサービスは入社までは手数料が発生しないので、費用をかけずに採用業務の工数削減がおこなえる点は大きなメリットです。
人材紹介サービスを利用するデメリット
人材紹介サービスを利用する際に考えられるデメリットもみていきましょう。主に以下の3点が考えられます。
採用業務の内製化が難しくなる
1つ目のデメリットは、採用業務の内製化が難しくなる点です。
人材紹介会社を利用することで求人票の作成や求職者とのコミュニケーションを一任できるのは、採用工数削減という観点では大きなメリットです。しかし、人材紹介会社を通じた採用しかできない体制になってしまうと、自社にノウハウが蓄積せず、仮に人材紹介会社を使わない採用手法を実行する場合に、採用競争力が大きく低下してしまう可能性があります。
他の採用方法よりも費用が掛かる
2つ目のデメリットは、他の採用方法よりも費用が掛かる可能性が高い点です。
例えば、求人広告を活用する場合、月に50万円から100万円程度を支払うことで、うまくいけば複数名の採用が可能なケースもあります。一方、人材紹介サービスを活用する場合、採用決定時に想定年収に応じた費用を支払う必要があります。例えば、35%の手数料で年収600万円の人を採用した場合、600万円×35%で210万円の支払いが発生します。
人材紹介サービスを活用するのか他の採用方法を検討するのかは、予算との兼ね合いも含めて検討する必要があります。
担当者の力量によってマッチング精度が変わる
3つ目のデメリットは、人材紹介会社の担当者の力量によってマッチング精度が変わる点です。
担当者によって得意な業界や職種は異なります。自社ビジネスに明るい担当者が付けば高精度なマッチングが期待できますが、必ずしもそうなるとは限りません。どんな担当者が自社につくかはコントロールしきれないこともあり、デメリットとなる可能性があるでしょう。
人材紹介サービスを利用した採用の流れ
続いて、人材紹介サービスを利用する際の流れについて解説します。
サービスの比較・検討〜契約
まずは、人材紹介サービスの比較・検討〜契約をおこないます。自社でどういった人材を採用するのかをある程度明確にしてから、どの人材紹介サービスを利用するのが適切かを比較・検討しましょう。ホームページなどの情報を見るだけではなく、時間の許す限りで打ち合わせをし、どのような人が自社を担当することになるのかも見極めます。
自社と親和性のある領域を得意としているか、これまでの採用支援実績、価格帯、担当者、それぞれに納得感を持つことができれば契約を締結します。
採用要件のヒアリング・求人票作成
契約が完了すると、次は自社で採用したい人材の要件を人材紹介会社に伝え、求人票の作成を依頼します。採用したいポジション、業務内容、入社後のキャリアパス、年収帯に加え、採用を検討している背景まで伝えることで、人材紹介会社はスムーズに求人票の作成に取り掛かれます。
なるべく細かい情報まで伝えられるよう、事前に社内ですり合わせをしておくのがおすすめです。
採用候補者の絞り込み・紹介
採用したいポジションの人材要件が明確になり、求人票が作成されると、人材紹介会社は求職者への声掛けを開始します。データベースに登録されている人材に向けてスカウトメールを送付し、返信があった人とキャリアカウンセリングをおこなって、要件にフィットする人材であるかを見極めます。
このフェーズでは、求職者に対して自社を魅力的に語ってもらうことが重要なポイントです。なかなか求職者の紹介があがってこない場合は、自社の魅力について改めて人材紹介会社と整理する場を設けるなど、適宜接点を取りながら進めていきましょう。
成功報酬型のため、人材紹介会社は、スカウトメールの返信率が高くスムーズに応募意思が取れる企業の案件に注力しがちです。自社に注力してもらうためには、定期的に会話する場を設け、自社採用のパートナーとして巻き込んでいく姿勢が大切です。
書類選考・面接
人材紹介会社が求職者から応募意思を預かり自社への推薦が完了したら、自社側で書類選考・面接をおこないます。この際、人材紹介会社は、面接の日程調整や、求職者がどういった志向を持っているか、現年収と希望年収はいくらか、他社の進捗状況などについてサポートをします。
自社で面接評価が高い求職者は、他社の選考においても高い評価を得ている可能性が高いと考えられます。求職者側からしても、スピーディに連絡をしてくれる企業のほうが印象は良いので、仲介している人材紹介会社とのスムーズなやり取りは採用成功において重要な要素です。人材紹介会社からのメールには24時間以内に返信するなど、スピード感を持って対応しましょう。
内定・入社手続き
面接の結果、採用したいと判断した人材には内定通知書を発行し、人材紹介会社経由で求職者に送付します。人材紹介会社は内定通知書をもって求職者に入社意思確認をおこない、承諾が得られれば内定受諾となります。
内定承諾日から実際の入社日まではリードタイムがあり、この間に求職者は現職の退職手続きなどおこない、転職の準備を進めます。人材紹介会社は退職交渉の完了や入社までのフォローをおこない、入社の確認ができたタイミングで請求書を送付します。
人材紹介サービスを選ぶ際のポイント
人材紹介サービスを選ぶ際のポイントは、自社の採用用件によって異なります。以下の3点をおさえながら検討しましょう。
母集団の規模
1つ目のポイントは、母集団の規模です。人材紹介会社のデータベースに何名くらいの登録があるかを確認しましょう。
大手の人材紹介会社になると、登録者数は数百万名以上にもなります。例えば、営業職・人事職など多くの企業に存在するポジションでの採用を検討している場合は、母集団の規模が大きい人材紹介サービスを活用するのが有効です。一方、ニッチな業界・業種や自社独自の職種での採用を検討している場合は、それぞれの業界や職種に特化している人材紹介サービスの活用が適切でしょう。
特化している業界・職種
いくらデータベースの登録者が多くても、自社の採用ニーズに合った人材の登録がなければ意味がありません。金融・医療などの専門知見を持った人材や、ITエンジニアなど特定の技術を必要とする人材を必要とする場合、業界や職種に特化した人材紹介サービスの活用がおすすめです。母集団を構成している登録者がどういった業界・職種の人材なのかを確認しましょう。
依頼したい採用枠での取引実績
人材紹介会社の取引実績を確認するのも重要です。採用は、求職者と適切なコミュニケーションを続けながら、しっかりと求職者をグリップできているかどうかで成否が分かれます。
取引実績が豊富でない人材紹介会社は、仮に登録者数が多くても経験者が少ない、業界や職種に対する知見がそこまで深くないなど、サービスの質の部分に問題があるかもしれません。企業サイトなどに掲載されている実績にしっかりと目を通しておきましょう。
まとめ
いま、人材紹介業を営む企業は増えており、検索すると相当な数がヒットします。そのなかから自社の採用にフィットする人材紹介会社を見つけるためには、まず自社がどういった人材を採用したいのか、要件を明確にする必要があります。
人材紹介サービスの活用を検討しているものの、どこに依頼をすればいいかわからない場合は、まずはエスプールヒューマンソリューションズにご相談ください。貴社の採用に貢献するソリューションをご提供いたします。