物流業務を効率化するためのポイントとは?物流業界における課題とともに解説

ECサイトなどを通してネットショッピングが普及し、物流業界にかかる負担は以前に比べて格段に増しています。長時間労働の問題や人材不足が叫ばれる中、一刻も早く物流業務の効率化を図らなければならないと考える事業者は少なくないでしょう。

そこで今回は、物流業務を効率化するためのポイントを、物流業界における課題とあわせて解説します。

物流業界における課題とは

まず、現在物流業界における課題について見てみましょう。

長時間労働と人材不足

物流業界は拘束時間が長くなる傾向にあり、労働環境を悪化させるものとして深刻な課題となっています。特に荷物の配送を担当する長距離ドライバーは、運転だけでなく、配送先の倉庫やセンターでの積み下ろしや待機時間などが加わるため、拘束時間が長期化しやすい職種です。

そうした労働環境の悪さは物流業界の人材流出、人材不足につながりやすく、業界全体の体質改善が急務となっています。

ECビジネスの成長による配達量の増加

近年はネットショッピングが当たり前になり、多くの人が配送を通じて商品を受け取るようになりました。

国土交通省が2019年に公表した「平成30年度宅急便等取扱実績関係資料」によれば、宅配便取扱個数は年間約43億個にものぼり、10年前の約32億個に比べて10億個も増えています。このことから、物流業務に携わる人々の負担が非常に大きくなっていることがわかります。
また、配送業者同士でサービスを競うあまり物流業務が煩雑化したことも負担を大きくしている原因のひとつです。

物流業務を効率化するメリット

物流業務の課題を解決するためには、業務の効率化を進める必要があります。では、効率化には具体的にどのようなメリットがあるのか、2つの観点から解説します。

物流コストの削減

倉庫の管理コストやスタッフの人件費、トラックの配車費用など、物流業務においてコストが発生する要素は多岐にわたります。それらすべての業務を効率化するのは決して簡単ではありませんが、範囲が広いからこそ、全体を効率化できれば大幅なコストの削減を達成できるとも言えます。

サービスのクオリティの向上

業務を効率化し物流業務をスムーズに進められる環境を整えることで、サービスのクオリティを向上させることができます。お客様に商品を届けるまでの期間を短縮したり、ミスを減らして正確な配送を実現したりできれば、お客様からの信頼が向上し、リピーターの獲得にもつながるでしょう。

政府主導による物流総合効率化法とは

国土交通省では、「物流総合効率化法」という法律に基づいて、物流業務の効率化を推進する事業者に対してさまざまな支援を行っています。「配送業務などの流通に伴うCO2排出量の削減」「輸送網の集約や共同化、モーダルシフト等による流通の合理化」などを推進する事業者は、認定を受けることで税制面での優遇措置を受けることができます。

認定にはいくつかの基準を満たす必要がありますが、税制の優遇の他にも、事業許可を一括で取得できたり、事業経費の一部を補助してもらえたりするなど、多くのメリットがあります。

物流業務を効率化する5つの方法

物流業務を効率化する5つの方法

では、物流業務を効率化するためにはどのような方法があるのでしょうか。5つの方法について解説します。

物流拠点・輸送網の集約

複数の物流拠点を持つと配送先へ最短距離で移動できるというメリットがありますが、拠点の賃料やそこで働くスタッフの人件費がかかることはもちろん、トラックの稼働台数が増えたり、貨物の平均搭載率が低下したりといった問題が生じます。この問題に対しては、物流拠点や輸送網を集約して配送業務の効率化を図るのが効果的です。

共同輸配送の取り組み

従来は各運送会社が独自にトラックを手配して配送を行っているため、荷量が少ない状態でトラックを稼働させなければならないケースは少なくありませんでした。しかし近年、複数の会社が協力して一つのトラック内に荷物を積み込み同一ルートの配送先に届ける「共同輸配送」の取り組みが広まりつつあります。ドライバーの負担軽減だけでなく、稼働するトラックを減らすことでCO2排出量の削減ができるというメリットもあります。

現場での作業の見直し

現場の業務フローを見直すことで非効率な工程を削減する取り組みも大切です。普段は当たり前に行っている業務も、一つひとつの手順を振り返ると無駄が生じている可能性があります。「この作業は本当に必要なのか」とあらためて考える視点が大切です。

また、効率的にピッキングを行うために倉庫のレイアウトを最適化したり、ロケーション管理を徹底したりするのも効果的です。ピッキングにかかる時間を短縮できれば、少ない人手でも効率よく業務を進められます。

IT技術システムの導入

WMS(倉庫管理システム)などのIT技術システムを導入して根本的な業務の効率化を図るのも有効です。ハンディスキャナーを活用すればバーコードを読み取るだけで正確な検品が可能になりますし、在庫状況も明確になります。最適なピッキングの導線を自動で算出したり、効率の良い配送ルートを導いたりする機能もあるため、物流業務全体の手間やコストの削減にもつながります。

物流業務全般をアウトソーシング

自社で物流を担わず、専門業者にアウトソーシングするという方法もあります。手間やコストのかかる物流業務をプロに任せることで、これまで物流業務に割いていた時間を他の重要な業務に回せるようになります。

また、プロが物流業務を担当することで配送に関わるミスを減らすことができたり、季節によって荷量が変動しやすい商品を扱っている場合でも常に最適な人員を確保したりできるのもメリットとなります。

物流業務を見直し効率化を図ろう

ここでは、物流業務の課題や業務を効率化するためのポイントについてお伝えしました。

長期化する人材不足と今後も続くとみられる配送量の増加に対応するためには、さまざまな方法を用いて物流業務を効率化し、スタッフの負担を減らす工夫が重要です。ここで紹介した効率化の方法を試しつつ、それでも自社で対応しきれない場合は、思い切って専門業者へのアウトソーシングを検討してみましょう。

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