近年、ビジネスはますますグローバル化しており、国内だけでなく国外とも頻繁に貨物のやりとりをする機会が増えています。特に越境ECに進出している企業においては、スムーズな国際物流の構築が不可欠でしょう。
そこで今回は、国際物流の一般的な流れや課題などについてわかりやすく解説します。
国際物流とは「国と国の間の物の流れ」のことです。「海外物流」と呼ばれることもありますが意味は同じです。
国際物流は国内からの輸出と海外からの輸入の両方に関わるため、船便や航空便による輸送やインボイスの発行、保税倉庫の準備や荷役、海外向けの梱包作業など、国内物流にはない数多くの業務が発生します。
一般的に国際物流の輸送期間は国内物流よりも長くかかるケースが多く、特に船便を利用した輸送では数週間以上かかることも珍しくありません。また、国内物流に比べて輸送にかかる費用が高額になることが多いため、国内物流以上にコストの最適化を意識しながら運用する必要があります。
国際物流の一般的な流れとしては、次のようになります。
1. 商品の梱包・出荷
2. 法律に基づいた諸手続き
3. 輸出申告
4. 税関による審査
5. 輸出物検査
6. 税関による輸出許可
7. 船便および航空便への貨物搭載
まずは国内便と同様、顧客の注文に基づいて出荷する商品を梱包・出荷します。国際物流では輸送期間が長くなりやすいことから商品が衝撃にさらされる期間も長く、それに耐えられる頑丈な梱包が必要になります。
商品の出荷が完了すると、インボイスの発行や通関手続きなど、法律に基づいた諸手続きを行います。これらの業務は国内物流には発生しないため、国内を中心に展開していた企業が途中から越境ECに参入する場合は注意が必要です。
諸手続きを終えて必要書類が揃ったら、税関に対して輸出申告を行います。海外に向かう荷物は必ず輸出申告をして税関からの審査および検査を受け、輸出許可を得なければなりません。
審査が完了して税関からの輸出許可が出ると、船便や航空便など指定の輸送ルートに貨物が搭載されます。ここから目的の国へと輸送が始まり、最終的な発送先である顧客のもとへと商品が届けられます。
輸出入の際に必要になる書類は「輸出通告書」「包装明細書」「仕入書」の3点となります。包装明細書は「パッキングリスト」、仕入書は「インボイス」とも呼ばれています。
ただしこれらは自分で通関手続きをする場合に必要な書類であり、業者に通関手続きを依頼する場合は「パッキングリスト」「インボイス」「委任状」「船積依頼書」の4点が必要となります。
パッキングリストとは、「貨物をどのような形式で積み込んでいるか」を申告するための書類です。輸出する貨物の数量や包装後の重量・容積などが記載されています。インボイスは「どの貨物がいくらで販売されるのか」を申告するための書類です。
船積依頼書は、通関を依頼する業者が「航空運送状」または「船荷証券」などを発行する際に必要になるものです。さらに、委託業者と初めて取引をする際は委任状を用意しなければなりません。
一方、輸入の際に必要になるのは「インボイス」「パッキングリスト」「運賃明細書」「保険料明細書」「船荷証券または海上運送状(航空便の場合は航空貨物運送状)」の5つです。
その他、貨物の内容次第で法令に基づいた許可や承認が必要になったり、特恵(とっけい)関税や減免税の適用対象となったりする場合は、「特恵原産地証明書」や「減免税明細書」が追加で求められることもあります。
国際物流には国際間のやりとりだからこその課題がいくつかあります。ここでは代表的な4つの課題を解説します。
発送先の国の言語や文化、社会的背景などを理解している人材が社内にいない場合、海外企業とのやりとりが困難かつ複雑になってしまいます。現地の言葉がわからないために物流が滞ってしまい、期待どおりのリードタイムで顧客に商品を届けられない可能性があります。
また、配送トラブルが起こった際に解決に時間がかかったり、大幅な信頼低下につながりやすいことも特徴といえるでしょう。
国際物流は国内物流に比べてプロセスが多いことに加え、取引時の為替レートによってコストが大きく変動することもあり、各プロセスにどれぐらいのコストがかかっているのかを細かく算出することが困難です。人件費をどのように配分するかを考慮する必要もあります。これらの理由から、国際物流のコストは分析が難しいのが実情です。
在庫管理が難しいことも国際物流の難易度を高めている原因の一つです。国際物流は船便を利用する機会が多いことからリードタイムが長期化しやすく、商品が発送されてから目的地に到着するまでの長い期間を見越して発注や配送をする必要があります。見込みが甘いと1ヵ月先の在庫状況を予測して発注したものの在庫が余剰になってしまうなどのトラブルが起こりやすくなります。
国際物流は輸送期間が長期にわたることから、天候や船舶のトラブル、通関の遅延などが起こりがちです。その結果、輸出の場合は配送の遅延が起こり、輸入の場合は生産・販売に多大な影響を及ぼすことがあります。不慮の事故などによって輸送途中で商品が紛失するリスクも国内物流に比べ高くなります。
国際物流を手がける際は、原材料の調達や生産、販売、発注、配送状況など、社内のあらゆる情報を可視化して、自社の物流がどのような状況にあるのかを明らかにする「サプライチェーンマネジメント(SCM)」を意識することが大切です。
社内の情報を可視化することにより、リードタイムが長期化しても生産・販売において柔軟に対応しやすくなり、配送に問題があった場合もスムーズな顧客対応が可能となります。
ここでは、国際物流の流れや課題についてお伝えしてきました。
国際物流は国内物流にはない多くの手続きが発生するため、これまで国際物流に取り組んだことがない企業にとってはハードルの高さを感じてしまうかもしれません。
手間がかかりトラブルも起こりがちな国際物流をスムーズに運用したい場合は、プロの物流会社へのアウトソーシングをおすすめします。豊富な経験をもとに通関手続きなどの煩雑な業務も滞りなくこなし、国際物流を最適なプロセスで実現します。国際物流を検討している方は、一度エスプールロジスティクスにご相談ください。
エスプールロジスティクスでは、越境EC展開の支援サービスとして、
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