インターネット上で気軽に商品の売買ができるようになったことから海外との取引が盛んになり、越境ECを始める事業者も増えてきました。
越境ECを成功させるためには、スムーズな物流体制の構築がカギを握っています。ここでは、なぜ越境ECの成功には物流がカギとなるのかを解説するとともに、最適な発送方法についてご紹介します。
越境ECにおいて物流が重要な理由には、コストと顧客満足度の2つが挙げられます。
越境ECでは、物流コストが売上に直結しやすいという特徴を持っています。
国内向けの物流においても物流コストの削減は売上向上につながりますが、越境ECにおいては経費に占める物流コストの割合が国内物流に比べて高く、コスト削減が売上に与える影響はさらに大きくなります。倉庫の運用を効率化し、1件ごとの配送単価をどれだけ下げられるかが、越境ECの成否を左右します。
越境ECにおいてスムーズな物流体制を構築できるかどうかは、顧客満足度に大きく関わります。海外配送は国内配送に比べてお客様のもとに商品が届くまでの期間が長くなりやすく、注文が入ってから梱包・出荷までの時間が長くなればなるほど配送リードタイムも長期化します。
配送先の国にもよりますが、アメリカやヨーロッパなどの遠方では配送方法次第で1週間近くかかるケースもあります。注文してから少しでも早く届けられれば、顧客満足度を高めることができます。
越境ECの物流は、国内向けの通常の物流とどのように異なるのでしょうか。ここでは、国内物流との主な違いを3つ解説します。
前述の通り、海外配送は国によって配送リードタイムが大きく変わります。
一般的にアジアなどの近隣諸国ほど配送リードタイムは短く、アメリカやヨーロッパなど日本から遠い国になるほど長くなります。越境EC進出先の国に商品を届けるにはどの程度の日数がかかるのかをあらかじめ把握しておき、適切な配送方法を選択することが大切です。
国内配送に比べ海外配送は配送期間が長く、移動中の衝撃にさらされる時間も長くなります。そのため、衝撃に耐えられるだけの丁寧な梱包が要求されます。また、海外の配送業者は日本に比べると荷物の扱いが乱雑になることも多いため、さまざまな事態を想定して商品を守るための厳重な梱包を施すことが大切です。
国内向けの配送では伝票に宛先を記入して配送業者に預けるだけで荷物を発送できますが、海外配送ではインボイスの発行と通関手続きが必要になります。書類の発行業務や通関手続き業務など、国内配送にはなかった新たな業務が発生するため、配送のためにかかる手間と時間が増加します。
越境ECを始める際に直面しやすい物流の課題として、「どのような配送方法を選ぶか」が挙げられます。
海外に荷物を発送するためには越境ECの進出先に対応している業者を選ぶ必要があります。しかし、国内向けの配送に比べて選択肢が多くなることから、どの業者が最適かわからず、「物流に不安があるのでなかなか始められない」と足踏みしてしまう事業者も少なくありません。
海外への発送は、選択した配送方法によってコストも大きく異なるため、コストと利便性のバランスを見極める必要があります。海外への具体的な発送方法については、次の項目で詳しく解説します。
海外への発送方法は、自社からの直接発送だけでなく、現地に倉庫を構えて発送する方法やアウトソーシングなどがあります。3つの発送方法について、それぞれ詳しく解説します。
国内向けの商品と同様、自社の倉庫に海外発送用の商品を保管しておき、注文のたびに直接発送する方法です。
この方法では自社のスタッフが倉庫業務を行うのが一般的です。リソースに余裕があり、越境ECの知識も十分に有している場合に適しています。
自社からの直接発送の場合、国内向けの商品と一括管理できるため、在庫管理が容易になるというメリットがあります。アジア圏など配送リードタイムがそれほど長くない場合は、国内の倉庫を利用しても良いでしょう。
越境EC進出先の国に倉庫を構えて現地でEC用の商品を保管しておき、注文があるたびごとに現地の倉庫から発送する方法です。
現地から直接発送できるため配送リードタイムを短縮しやすく、少しでも早く商品を届けたい場合に効果的です。進出先の国が日本から遠く、配送リードタイムが長期化しやすい場合に向いています。
越境ECや海外発送の知識が十分にない場合や、物流リソースを十分に確保するのが難しい場合は、物流業務をアウトソーシングするのも方法の一つです。
越境ECの知識を豊富に有したプロのスタッフが海外発送を行うため、品質の高い物流体制を構築できます。また、プロの視点で効率的な配送方法を選択してもらえるため、コストの効率化も図れます。
越境ECの運用においてどのような発送方法を選ぶかは、自社の越境ECのフェーズによって適宜変更していくことが大切です。
まだ海外向けのECを始めたばかりで、それほど事業規模が大きくないようであれば、自社の倉庫から直接発送してもそれほど大きな負担にならず、注文の管理もしやすいというメリットがあります。
しかし、事業規模がある程度大きくなってきたり、進出先の国が増えてきたりして、配送リードタイムに不安が出てくるようなら、現地に倉庫を構えて運用するのも選択肢の一つです。
また、自社の物流知識が不十分な場合や1日に大量の注文を処理しなければならない場合は、自社だけで対応するのではなく、物流業務自体をアウトソーシングしてプロのスタッフに任せることも検討しましょう。
越境ECの注文をスムーズに処理し顧客満足度を高めるためには、高品質な物流体制の構築が必要不可欠です。物流コストの圧縮は売上に直結するため、自社の物流をどのように運用していくのかは慎重に検討する必要があります。
海外発送は自社倉庫から直接発送するだけでなく、現地に倉庫を構えたりアウトソーシングを利用したりする方法もあります。越境ECのフェーズに合わせて柔軟に発送方法を変更し、適切な対応ができるようにしておきましょう。
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