越境ECを始める時に、どのプラットフォームを利用すれば良いのか迷っている方は多いのではないでしょうか。「そもそもプラットフォームってどんなもの?」という方もいるかもしれません。
そこで今回は、越境ECにおすすめのプラットフォームをエリア別に徹底比較します。これから越境ECを始めたいとお考えの場合はぜひ参考にしてみてください。
プラットフォームとは、「システムやサービスを提供するための土台となる環境」のことです。越境ECにおけるプラットフォームは「越境ECサイトを運営するための土台となる環境」のことで、導入により商品の販売やカートへの追加、決済など、顧客に商品を販売するための一連の処理ができるようになります。
インターネット経由で越境ECを始めたいと考えている事業者は、最初にどのプラットフォームを利用するのかを選択する必要があります。
越境ECのプラットフォームは大きく分けて2つのタイプがあります。以下で詳しく解説していきます。
自社型ECとは、自社独自のECサイトを構築して運営するタイプのプラットフォームのことです。自社でサーバーを構築したり事業者が提供するクラウド基盤を利用したりとスタイルはさまざまですが、後述するモール型ECとは違いプラットフォーム内に自社以外の店舗が存在しないため、他社と競合しにくく価格争いにも巻き込まれにくい環境が構築できます。また、モール型ECよりもカスタマイズの自由度が高く、自社のブランドを表現しやすいというメリットもあります。
一方、自社でゼロから集客施策を行わなければならないことや、構築費用が高くなりやすい点はデメリットです。
モール型ECとは、Amazonや楽天市場のように企業が提供するECプラットフォーム上に店舗を出店するECのことです。出店のテンプレートがある程度決まっているケースが多いため、カスタマイズの知識がなくても出店準備が比較的簡単で、誰でも運用しやすいメリットがあります。
また、プラットフォームを提供する企業の知名度を利用した集客が期待できるため、認知度が低いブランドであっても一定のアクセスが見込めるでしょう。
一方、カスタマイズ性が低いため競合他社と差別化しにくく自社のブランドコンセプトを伝えにくい点や、競合他社の商品と自社商品が一覧で表示されるため、価格競争に巻き込まれやすい点がデメリットとなります。
ここからは、越境ECにおすすめの自社型ECプラットフォームを5つ紹介します。
Shopifyはカナダ発祥のグローバルECプラットフォームで、世界175ヵ国以上、170万店舗以上に利用されているECプラットフォームです。
2017年から日本語対応が始まり、国内でも多くの事業者が利用しています。
世界中のあらゆる決済方法に対応しているため、進出先の国にそれほど詳しくなくても事業を始めやすいのがメリットです。テンプレートが用意されており、自社の雰囲気に合わせて選ぶだけで高品質なECサイトが開設できます。
Live Commerceは英語と中国語の越境ECサイトを構築できるECプラットフォームです。
累計1,000社を超える導入実績と年間200億円を超える流通総額を誇り、GoogleやFacebookなどと連携して自社ブランドを販売できます。電子書籍や動画のダウンロード販売にも対応しており、写真や漫画・小説、ソフトウェア、ショートムービーなどのデジタルコンテンツを扱う事業者にも適しています。
LaunchCartはアジア向けの越境ECプラットフォームで、160通貨に対応しています。
特に多く利用されているのはアメリカや台湾、中国、韓国、インド、マレーシアなどで、アジアを中心とした越境EC進出を検討している方におすすめです。
一般的な商品販売だけでなく単品リピート通販や定期購入にも対応しており、効果測定やCRMなども日本国内と同品質で展開できます。海外との連絡手段として主要なSMS/MMSもカバーしており、現地の状況に根差した施策が実行できます。
MagentoはAdobeが提供しているオープンソースのECプラットフォームで、カスタマイズ性の高さが魅力です。
カスタマイズに多少の知識は必要となりますが、細かな調整が可能で、ブランドコンセプトを詳細に伝えたい場合に適しています。BtoBにもBtoCにも強く、60以上の多言語と50以上の通貨に対応しているため、多くの国への越境ECが可能です。
Wixはイスラエル発祥のWebサイトビルダーで、多種多様なテンプレートを利用して越境ECサイトを構築できます。
多言語対応のための言語追加ツールや、商品価格を現地通貨で表示させるための通貨換算ツールなど、越境ECの運用に便利なシステムが用意されています。自動翻訳機能もあるため、現地の言語に明るくない事業者でも越境ECを始めやすい環境が整っています。
続いて、中国の越境ECにおすすめのモール型プラットフォームを紹介します。
天猫国際はアリババグループが運営する中国最大のECプラットフォーム「天猫」の越境EC部門です。
中国国外に拠点を持つ事業者は、原則として天猫国際に出店することになります。中国最大の認知度や品揃えを活かした集客力が魅力です。化粧品や家電などの日本製品は人気が高く、扱う商品の種類によっては大幅な売上アップも期待できます。
考拉海購も天猫国際と同様、アリババグループが運営するECプラットフォームです。
越境EC保税倉庫の面積は業界最大規模で、80以上の国と地域が進出。出品ブランド数は1万以上にのぼります。考拉海購が顧客に直接販売する直営モデルを採用しているため、出店するというよりも商品を納品するスタイルが一般的です。
京東国際は、中国では天猫国際と並んで知名度の高いECプラットフォームです。京東グループが運営しており、特に電化製品の販売で強みを持っているため、家電を扱う事業者の出店に向いています。国別では日本の商品が最も売れており、日本製品を出品する越境ECの進出先として有力なプラットフォームの一つです。
アメリカへの越境ECにおすすめのモール型プラットフォームとしては次の4つが挙げられます。
世界中にローカライズされているAmazonですが、グローバルアカウントでアメリカ版に出店する越境ECの方法があります。
アメリカ版Amazonの市場規模は日本円で60兆円を超えており、アメリカ国内のECにおいて38.7%のシェアを獲得。その広大な市場が魅力です。
世界中で約1億4,200万人のバイヤーが存在するアメリカ発のモール型プラットフォームです。
アメリカ国内のシェアは第3位で、カナダやフランス、ドイツ、オーストラリア、イギリスなどでの知名度も高く、北米と同時に越境ECへ進出したい方におすすめです。
Walmartはアメリカ国内最大のスーパーマーケットチェーンで、ECプラットフォームにおいても第2位のシェアを誇る巨大企業です。
もともとはアメリカ国内の業者しか出店できませんでしたが、現在は承認を受ければ国外からでも出品が可能です。日用品や家電、おもちゃ、化粧品など、バラエティに富んだ商品を扱っています。
メルカリは日本のCtoCプラットフォームですが、海外からでも商品を購入できるため、越境ECプラットフォームとして利用することも可能です。
日本の企業が開発したプラットフォームのため出店や運用のハードルが低く、手間がかかりにくいのがメリット。商品は「Buyee」という代理購入倉庫に発送するだけなので、海外向けに発送対応をする必要はありません。
アジア圏への越境ECにおすすめのモール型プラットフォームには、次のようなものがあります。
Shopeeはシンガポール発祥の越境ECプラットフォームで、東南アジア向けのECプラットフォームとしてはNo.1のシェアを獲得しています。
シンガポール、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの6ヵ国に進出可能であり、販売事業者数は1,000万以上にのぼります。2021年には世界ショッピングアプリランキングで総合ダウンロード数1位を獲得するなどユーザーが多く、広大な市場で自社の商品を販売できます。
PChomeは台湾のECプラットフォームで、日用品や家電、生活用品などさまざまな商品を取り扱っています。
台湾国内では非常に知名度が高いため、台湾に絞った越境EC進出の際に出店を検討すると良いでしょう。BtoC向けの「PChome購物中心」や24時間以内に配送する「PChome24h購物」、モール型の「PChome商店街」など、複数のプラットフォームを運営しているのも特徴です。
Lazada Thailandはタイ発祥のECプラットフォームです。
シンガポール、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシアの6ヵ国に対応しており、中国のアリババグループが運営しています。タイにおけるAmazonのような立ち位置で、幅広いジャンルの製品を扱っています。
G-marketは韓国のECプラットフォームで、韓国国内ではNo.1のシェアを獲得しています。
韓国に拠点がなければ出店できませんが、現在はeBay Japanの出店支援によりeBay USサイトに出店すればG-marketにも商品を販売できるようになりました。さまざまなカテゴリの商品を扱っていますが、中でもコスメや食品などが多く出品されています。
越境ECのプラットフォームを選ぶ際は、自社商品の種類や特徴に合ったプラットフォームを見極めることが大切です。例えば、化粧品をメインに扱っているECサイトが家電を主軸とするプラットフォームに出店しても、リーチできる顧客は多くありません。自社商品を必要としている顧客が多く利用するプラットフォームをよく検討したうえで、適切に出店しましょう。
また、サポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。越境ECは海外との取引になるため、商品の出品から配送に至るまで、日本国内の販売とは異なる点が多々あります。困り事が生じた時に相談に乗ってもらえるかどうかによってスムーズに運用できるかどうかが変わってきます。
越境ECに進出する際は、自社ECとモール型ECのどちらが適切なのかをよく検討し、進出先の国に見合ったプラットフォームを選ぶことが大切です。そのうえで、自社商品の需要がより高まりそうなのはどこなのかを見極めましょう。
海外との取引は、言語や通貨、配送方法など、さまざまな部分で日本国内の取引とは異なります。ハードルになりそうな部分を事前に調べておき、適切なプラットフォームを選ぶことで、スムーズな運用体制を実現できます。
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