越境ECを始める際には、アメリカにおけるAmazonや中国におけるTmall
Globalなど、現地で人気の越境EC対応サイトに出店することが重要です。シェアの高い越境ECサイトに出店することで自社の商品がより多くの顧客の目に留まるようになり、売上拡大のチャンスが広がります。
そこで今回は、越境ECサイトの売上ランキングを、アメリカ、中国、韓国、台湾の4ヵ国に分けてご紹介します。
経済産業省が公開している「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によれば、世界のEC市場規模ランキング第1位は52.1%を占める中国で、第2位は19.0%を占めるアメリカでした。中国とアメリカの2ヵ国で全世界のEC市場における7割程度の規模をカバーしており、イギリス(4.8%)、日本(3.0%)、韓国(2.5%)がそれに続いています。
このように、世界のEC市場は中国とアメリカが先導している状況にあり、越境ECの進出を検討する際も、これらの2ヵ国が非常に有力な選択肢となります。
コロナ禍によって世界中の人々が外出を制限されたことから、自宅にいながら買い物を楽しめるECサイトを利用する人は激増しました。公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が実施した「2020年度(2020年4月-2021年3月)の通販市場売上高調査(速報値)」によると、日本における2020年度の通販の売上高は10兆6,300億円と、前年比+20.1%の大幅増となっています。これは、調査が開始された1982年以降最も高い増加水準でした。
また、経済産業省が取りまとめた「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、コロナ禍前、2019年の世界のBtoC-ECの市場規模は3.35兆USドルでしたが、コロナ禍に突入した2020年には4.21兆USドルと、前年比+0.86兆USドルもの増加を見せています。2017年から2018年にかけては+0.55兆USドル、2018年から2019年にかけては+0.6兆USドルの増加幅だったことを見れば、コロナ禍の影響でECの利用が増加したと考えられます。
越境ECサイトには「モール型」と「自社型」の2つの種類があります。
これから越境ECを始める場合は、どちらのECサイトを利用するのかを十分に検討することが大切です。
モール型とは、AmazonやTmall Globalのように、企業が運営するECプラットフォームに出店するタイプの越境ECサイトを指しています。多くの出店者によって多種多様なアイテムが出品されているため、集客力が高い点がメリットです。企業の知名度も集客力の向上に貢献しており、「欲しいものを探そうと考えたときに、まずはモール型のECサイトを訪問する」というユーザーも少なくありません。そのため、現地で知名度がほとんどない新規の越境EC参入者でもある程度のアクセスを期待できます。
一方、自社型は、自社でECサイトを構築し、越境ECサイトとして世界に向けて公開する方法です。ECサイトをゼロから構築する必要があることから、モール型に比べて準備の手間と時間はかかりますが、デザインの自由度が高く、独自のキャンペーンを展開しやすいというメリットがあります。また、モール型は商品の売上金額に対して所定の手数料がかかりますが、自社型は手数料が発生しないので、利益率が高いことも注目しておきたいポイントの一つです。
アメリカにおける越境ECサイトの売り上げ上位にランクインしているのは、Amazon、Walmart、eBayの3つです。それぞれのサイトの特徴を見ていきましょう。
Amazonはアメリカの最大手の越境ECサイトで、世界12ヵ国にローカライズされた各国版のAmazonを展開しています。日本でも高いシェアを獲得しているため、馴染みのある人は多いでしょう。
2021年には有料会員である「プライム会員」が2億人を突破しており、アメリカ国内ではすでに利用者の20%以上がプライム会員に加入しているとの試算もあります。現在も安定的に成長を続けており、今後も世界で拡大していくと考えられる越境ECサイトです。
Walmartは世界最大手のスーパーマーケットで、実店舗とECサイトのオムニチャネル化によって大きな成功を収めています。コロナ禍をきっかけにECサイトに注力し、EC収益が大幅にアップしました。
ドローンによる宅配サービスを提供するなど、最先端技術も活用しながら、業務効率化と顧客利便性向上の両立を実現している企業でもあります。
eBayはオークションサイトとして立ち上げられましたが、現在では世界最大級のマーケットプレイスとして、世界中の国々から日々多くの出品があります。日本ではメルカリやラクマなど有名なマーケットプレイスが存在するためあまりシェアが高くありませんが、アメリカやヨーロッパでは認知度が高く、特にヨーロッパの一部の国ではAmazonにも引けを取らない高いシェアを獲得している例も見受けられます。世界190ヵ国に対応しているため、さまざまな国から多彩な商品が集まる点も魅力です。
中国における越境ECサイトの売り上げは、Tmall Global、京東商城、Pinduoduoが上位にランクしています。
Tmall Globalは、「Tmall(天猫)」の越境EC用プラットフォームです。中国国外の越境EC事業者がTmallへ出店する場合は、基本的にTmall Globalへ出店する必要があります。運営元のアリババグループは中国のEC市場で50%以上ものシェアを持ち、中国のEC市場とは切っても切り離せない存在となっています。
京東商城は、テンセントグループが運営する越境ECプラットフォームです。かつてはTmallと並ぶ中国における2大ECサイトでしたが、近年はややシェアを落とし、後述するPinduoduoとシェアを競っています。とはいえECの売上自体は好調で、家電やデジタル機器に強みを持っているなど、他のECモールとの差別化によって独自の地位を確立しています。
Pinduoduoは2015年にサービスを開始した越境ECサイトですが、近年、急激にシェアを拡大しています。10代~30代前半の若年層に人気が高く、インターネットの主力ユーザー層とも合致しており、このこともシェアの拡大に貢献しています。
SNSを活用した戦略がヒットしており、ユーザー同士がお得な情報を共有できたり、共同購入を行えたり、買い物かごを廃止したりと、画期的なサービスが注目されています。
韓国における越境ECサイトの売り上げランキング上位3位は、G-market、11番街、Tmonです。
G-marketは韓国最大のECサイトです。韓国コスメやファッションアイテムなどに力を入れており、日本のユーザーもよく利用しています。また、お得なグローバルセールが開催されることもあるため、世界各国のユーザーから支持を集めています。日本では楽天市場と提携して相互出店を行っており、越境EC参入のハードルが低い点でも注目度が高い越境ECサイトです。
11番街は、ファッションや美容、スポーツ用品、キッズ・ベビー用品、書籍やエレクトロニクスなど、扱う商品の幅が広いECサイトです。1位のG-marketが取り扱っていない商品の越境ECを検討している場合は、参入先の選択肢の一つになるでしょう。Amazonと提携しており、11番街のECサイト内からAmazonに出品されている商品を購入することもできます。
Tmonは2010年にサービスを開始したECサイトで、タイムコマース戦略が特徴的です。例えば、毎週金曜日は「無料配送デー」に設定されており配送料が無料になります。また、毎月1日には人気商品を安価に購入できる「ファーストデー」が開催されます。扱うジャンルは幅広く、ファッションや美容、レジャー、生鮮品、日用品などさまざまです。
台湾における越境ECサイトの売り上げランキング上位3位は、蝦皮購物、PChome / PChome商店街、momo購物網です。
蝦皮購物(Shopee)は東南アジア最大のECプラットフォームです。元々はシンガポール発祥の越境ECサイトですが、台湾、インドネシア、マレーシア、タイにも進出しており、台湾においてシェア1位を獲得しています。
現地法人として出店する場合はさまざまな国に商品を販売できますが、海外の事業者が越境ECとして出店する場合は、販売対象国(地域)が台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポールの5つに制限される点には注意が必要です。
PChomeは、対象顧客や目的別に複数のECサイトを運営している点が特徴です。BtoC向けの「PChome購物中心」や24時間以内に商品を発送するBtoC向けの「PChome24h購物」など、目的に応じたECサイトを運営することで、さまざまなユーザー層を取り込んでいます。2005年のサービス開始から15年以上に渡って多くのユーザーから支持を得ている、安定感のあるECサイトです。
momo購物網は2004年にサービスを開始したECサイトで、主に女性をターゲットにしています。事業形態はECサイトを中心としていますが、テレビショッピングやカタログ通販なども含めたマルチチャネルの運営が特徴です。
女性がターゲットとはいえ、取り扱うジャンルはファッションから生鮮品、日用品から家電・エレクトロニクス商品までさまざま。日本からもパナソニックや日立、ソニーなど多くのメーカーが出店しています。
エスプールロジスティクスでは、越境EC展開の支援サービスとして、
「越境進出ワンパッケージサービス」「現地進出プラン」の2つをご用意しております。