海外市場進出の重要性や日本・中国の越境ECの市場規模を紹介

海外市場進出の重要性や日本・中国の越境ECの市場規模を紹介

国内ECを取り巻く環境は、市場の激化や少子高齢化が進む中で、楽観できる状況ではありません。
一方、世界の人口は伸び続け、新興国の経済伸長は目覚ましく、欧米においてもEC市場は伸び続けています。
テクノロジーの進歩で近くなった海外市場への進出こそ、新たな成長への扉をあける一歩となりえるのです。

日本と世界のEC市場を比較してみると、 EC総取引額が中国は日本の約5倍、アメリカが約4.5倍となっています。
ネット人口でも、アメリカは日本の約3倍、中国では約7倍にまでのぼり、EC市場の規模の違いが明らかです。
中国とアメリカのEC市場規模の大きさに加え、経済成長し続けている新興国のEC市場規模の今後の発展も考えると、これからますます海外進出は重要な経営戦略の1つとなってくるでしょう。

【国別】越境EC市場規模

越境ECの市場規模は、国や地域によって大きく異なります。
ここでは、経済産業省が取りまとめた「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」を参考に、2021年度のアメリカ、中国、東南アジア、日本それぞれの市場規模について解説します。

アメリカの市場規模

2020年度のアメリカのEC市場規模は7,945億ドル(2019年度は6,017億ドル)。前年に比べて30%以上の大幅な成長を見せています。中国に次いで世界で2番目に市場規模が大きく、3位の英国(1,804億ドル)に大きく差を付けています。

中国の市場規模

2020年度の中国のEC市場規模は2兆2,970億ドル(2019年度は1兆8,015億ドル)でした。世界でもっとも市場規模が大きく、前年に比べて10%以上成長しています。第2位のアメリカと比較すると3倍の規模となる巨大市場です。

東南アジアの市場規模

東南アジア地域(ASEAN加盟国/ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール)のEC市場規模は年々拡大しており、2021年のEC経済は前年比+49%の1,740億米ドルでした。この流れは今後も続いていくと考えられ、2025年には現在の約2倍にあたる3,630億米ドル、2030年には現在の約6倍にあたる1兆米ドルにまで成長すると予測されています。

日本の市場規模

2020年度の日本のEC市場規模は1,413億ドル(2019年度は1,235億ドル)でした。英国に次いで世界で4番目の市場規模で、前年に比べて10%以上成長しています。中国やアメリカと比べると市場規模はかなり小さいものの、中国の購入先1位は日本(全体の24%)となっており、世界の市場の中でも重要な取引先となっています。

中国とアメリカの越境EC市場規模が大きい理由

中国とアメリカの越境EC市場規模が大きい理由としては、前述した通り、まずネット人口が日本よりも多いことが挙げられます。
アメリカのネット人口は日本の約3倍、中国では約7倍にまでのぼります。

また、ネット人口が多いだけでなく、国民の越境ECに対する考え方が日本とは異なります。
日本人は「海外サイトで商品を購入すること」への抵抗があることが調査で明らかになりました。
越境ECで買い物をしない理由を尋ねた調査によると、
「事業者が信頼できるか分からない」
「料金の決済に不安がある」
「商品の品質に不安があるため」
「模倣品、偽造品である可能性がある」
という声が多く聞かれました。
中国とアメリカではそうした不安な声が少ないため、市場規模が大きく拡大し続けているという見方もできます。

中国人が越境ECを利用する理由

中国人に越境ECを使う理由を聞いた調査結果によると、回答が多い順に
「商品の品質が保証されている(正規品)」
「低価格」
「国内で入手できない」
「好きなブランドがある」
「品ぞろえが豊富」
「海外で購入し、リピートしたいから」
となっていました。
正規品を求める声が多かったのは、偽物が多く出回る中国ならではといったところでしょう。

アメリカ人が越境ECを利用する理由

アメリカ人に越境ECを使う理由を聞いた調査結果によると、回答が多い順に
「比較的安い価格で商品を購入できるため」
「好きなブランドや商品が国内で購入できないため」
「国内にはないユニークな商品が欲しいため」
「商品の質が高いため」
などの理由が並んでいます。
アメリカ人も中国人がECを使う理由と同様に質の高い商品を求めるケースと、安さを求めて越境ECを使うケースが多いようです。

今後の日本・中国・アメリカの
越境EC市場規模予想推移

経済産業省のレポートから、2018年から2022年までのEC市場規模推移の予測を見てみましょう。

日本が2018年にアメリカと中国から購入した合計金額の2,765億円に対し、2022年は3,154億円と、1.14倍の成長が予測されています。一方、2018年にアメリカが日本と中国から購入した金額が1兆3,921億円だったのに対し、2022年は2兆3,531億円と1.69倍の成長を予測しています。
中国に関しても2018年にアメリカと日本から購入した金額が3兆2,623億円だったのに対し、2022年は53,456億円と1.64倍の成長予測です。

また、2022年2月12日にREPORTOCEANが公表したレポートによれば、上記3ヵ国を含めた世界の越境EC市場は2022年から2030年にかけて年平均21.4%を超える勢いで成長し続け、2030年には2兆9,185億7,000万米ドルに到達すると予測されています。

もちろんこのデータはあくまでも予測なので、法規制や為替の変動、各国の事情によって変わる可能性があります。参考程度でご確認ください。